あるBtoB製品を販売する営業担当の月報で、「製品の性能を顧客が十分理解して頂けなかったため失注した」と報告しました。この月報を見た部長さん、すぐにこの営業担当者の机まで飛んで行き言いました。
「製品の性能を顧客が十分理解して頂けなかったから売れなかったと報告するのはおかしい」
さすがこの部長、営業として顧客に正しく製品の利便性や価値を説明することができていないことは、売れなかった理由にならない、と叱咤するのかと思いきや、
「製品が売れないのは景気が悪いからだと書かないとだめだ。書き直しなさい。」
と叱責しました。
もう一つ。製造部門での話。
部長曰く「あの問題はどうなっているのか」
部下曰く「現在○○部門が対策を検討しています」
部長曰く「そうか。ではうちの(部門)の問題ではないのだね」
部下曰く「はいそうだと思います」
部長曰く「そうかよかった」
さて、この2つの例をみてどう思いますか。この部長さんの頭にあるのは、”責任”の二文字だと思います。責任のある(はずの)人が権限を振りかざすが責任は部下に押しつける。逆に、責任ばかりで権限がない。これらの状況はしかしたら良く見られる光景かもしれません。
責任と権限はバランスが取れていて明確でなければなりません。自部門の責任がなければそれでいいわけでもありません。組織としてのチームワークが乱れます。
一度自分の会社の管理者に、責任と権限が明確にバランス良く付与されているか確認することをお勧めします。責任を負わすならそれなりの権限も付与することが重要です。アンバランスになっていないか確認してみて下さい。権限があるのだから責任もあるだと再認識させることも重要です。人の動機づけはこのようなところから生まれるものです。
なお、この2つの事例本当にあった話かどうかのご判断はご想像にお任せします。
追加でもう一つおまけ。
営業担当者(真剣に)曰く:「価格が安く性能が良ければ売れるんだよ。何でうちはできないんだ」
ここまでくると責任と権限の問題でなくなるかも。