取り巻く環境への対応|統制可能要因を認識すること

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経営者は、地政学的問題や円安などの統制不可能な環境要因についてあれこれ考えてはいけません。自社でできること、つまり統制可能な環境要因についてのみ考えなければなりません。たとえ統制不可能な環境要因で自社の収益性が悪化したとしても、統制可能要因として自社ができることは何かを考えなければ、会社の継続性は危ぶまれます。

目次

ツールの解説|企業を取り巻く環境

外部環境

外部環境を表す言葉にPESTがあります。P(Politics);政治、E(Economiy);経済、S(Society);社会、T(Technology);技術の4つの言葉で外部環境を示した略語です。さらに会社を取り巻く外部環境として、顧客、競合、利害関係者が存在します。外部環境は、統制が可能な要因と統制が不可能な要因に分かれます。

外部環境となる対象には、たとえば、人口動向(人口の減少・増加、男女比率、年齢層の分布、学歴、人種構成など)、経済(景気状況、金利水準、為替水準、公共投資金額、所得水準など)、政治(政府、法律、自治体など)、自然(環境、天候、天然資源、大気など)、文化(流行、価値観、ライフ・スタイルなど)、技術(先端技術動向、コンピュータ技術など)といった、自分の力ではどうしようもない社会環境(統制不可能な外部環境)があります。

また、お客様(購買決定者は誰か、購買するプロセス、購買に影響をおよぼすものなど)、供給者(仕入業者、原材料の仕入先など)、仲介業者(卸、代理店など)、競合企業(自社の直接の競合企業、将来競合となる可能性のある企業など)、利害関係者(株主の意向、金融機関、債権者、官庁、マスコミなど)といった、ある程度統制可能な外部環境もあります。

引用:環境変化に対応するための分析手法

統制可能要因と統制不可能要因

統制可能要因・統制不可能要因は、SWOT分析の外部環境分析で議論されるものです。外部環境は、機会と脅威があり、その例をまとめると以下の表になります。

機 会脅 威
統制可能要因顧客の行動競合の動向
統制不可能要因新駅が近隣に創設
環境変化(猛暑等)
法律改正
コロナ禍
為替変動
地政学的要因

統制不可能要因の機会に、法律改正があります。確かにロビー活動などを通じて、統制可能な要因として位置づけることも可能かもしれませんし、今後は重要な活動になると思われます。しかし自社の努力だけで実施することはなかなかできない案件です。

SWOTで外部要因を分析する目的は、今後の世の中を予想するために使われる分析で、世の中がどうなるかそれに対し自社はどうするかを検討するためで、予想することが主体となります。自社だけの努力でどうなるものではないです(絶対とは言いませんが)。

実践的活用方法

経営者は統制不可能要因で悩まない

外部環境は基本統制不可能要因なので、予想することは重要となりますが、どう改善していくかなどの対象となる統制可能要因ではありません。よく、コロナ禍だから収益性が悪いのはしかたない、何もできないよ。円安でエネルギー価格が高騰し、仕入れ価格が高騰しているのに政府は何もしない、だから中小企業は収益性が向上しないんだ等々、よく経営者から聞く内容ではないでしょうか。

会社員が、統制不可能な上司の性格について、あれこれ居酒屋で愚痴をこぼすのは、ストレス発散を目的とした行動で、会社員つまり使用される側が、統制不可能な要因について話すのは、ある意味意味があります。しかしながら経営者は使用する側です。統制不可能要因についてあれこれ悩んだりしてもほとんど意味がありません。統制可能要因についてあれこれ施策を立案実施することが重要です。

どう考えればいいのか

経営者は外部要因を分析し予想し、その結果について自社として何ができるのか、どうすべきかを考えなければなりません。

学習塾の経営者が、“当塾の進学率が悪いのは近隣の生徒のレベルが低いからだ”と考えるのか、それとも”当塾の進学率が悪いのは、教え方をはじめとする提供するサービスが悪いからだ”と考えるのかの違いになります。

さらにもう一つ、競馬のジョッキー曰く”勝てないのは馬が弱いからだ”というのか、”弱い馬を何とか勝たせるすべはないのか”と考えるのかの違いも同じです。確かに競馬の場合7割が馬のレベルでレースが決まると言われています。馬の責任としても間違えたとはいえないのです。

これら2つの事例から、経営者はたとえ統制不可能要因であっても、統制可能要因として何ができるかを検討することが重要です。なぜ重要かと言えば、統制可能要因として考えることで、会社の今後の成長や発展が見込まれるからです。この考え方は一見無意味に思われるかもしれません。でも何もしない、つまり現状維持は停滞を意味します。たとえコロナ禍であろうが、震災が発生しようが、不断の努力が重要で何事も諦めないことが肝心です。なんとなれば顧客様が待っているからです。

あの巨人軍の監督だった長島茂雄さんも選手に喝を入れ言っていました。「諦めるな。人生はギブアップだぁ」いやいやネバーが抜けているでしょ長嶋さん(でも熱意は伝わる?)。

まとめ

  • 範囲把握:統制不可能要因は考えないようする。あくまで予想にとどめる
  • 思考転換:統制不可能要因を統制可能要因として転換する
  • 施策実施:自社の成長・発展のため何ができるかを考え実行する
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