理念。この抽象的な概念は会社の運営に必要なものなのでしょうか。大企業ならいざしらず中小企業でこの「理念」がなぜ必要か。考えてみて、それから必要かどうかを判断してもよろしいのではないでしょうか。
ツール解説
理念を明確することは、なぜあなたの会社が世の中に存在するのか、その理由を明確にすることと同じです。何かを判断する時の判断の拠り所となる考え方になり、会社の進む方向性が明確になります。
経営理念とは、経営する上での重要な指針であり、企業の根本的な価値観を示すものです。やや堅苦しく聞こえるかも知れませんが、平たく言えば「このように経営していく」という企業の決意表明です。
引用:J-net21 経営理念
実践的活用方法
キーワードの選出と活用
理念は社長のこだわりでもあり、なかなか他の人に知ってもらう理解してもらうのは難しいことです。社長自身が言葉ではなく、日々の行動で示したがりますが、これはなんなか浸透するものではありません。
そこで、こだわりを紙に書き出してみて下さい。以外と書き出せないものです。書き出せないということは、他人にご自身のこだわりが伝わらないことと同じです。
次に、書き出した言葉から、ポイントになるキーワードを選出してみてください。初めは100%納得できないキーワードでもかまいません。この段階で完璧を求めても建設的ではないです。実際に考えてみるなかなか選出することができないものです。
一度選出したら、そのキーワードを会話のなかで使うよう努力してみて下さい。「社長また言っている」と言われるぐらいしつこく忍耐強く繰り返し使って下さい。社長の思いが組織に浸透していくはずです。
文化の醸成
社長の理念(こだわり)が浸透することで企業文化が醸成されます。もしうまく浸透していないと感じたら、再度キーワードを見直してみることも重要です。ご自身が納得するキーワードを選択できているかどうかが重要です。納得のいくキーワードを選出することを重視してください。
会社員時代に、米国のベンチャー企業とコラボする機会があり、各地域の市場調査など一緒に活動したことがありました。フォーカスグループインタビューなどの調査では、参加した人があれこれ製品の評価を言って頂けるのはいいのですが、何を製品に反映させたのがいいのか、判断に困ることがありました。
そのとき米国のベンチャー企業の従業員は、会社の理念を持ち出し要望を取捨選択したことがありました。理念は方向性を示すための判断基準にもなります。建設的な議論ができたことを思い出します。
日本人は理念という概念的なものは得意ではないのかもしれません。でも価値観の異なる人をまとめある方向に先導する必要がある経営者にとって、経営者が見えないところでも経営者の意思を反映した活動を従業員に行動してもらうためにも、理念(こだわり)をキーワードにして口酸っぱく伝え、企業の文化として醸成することが重要です。
まとめ
- 概 念:「理念」は経営者の”こだわり”である。
- 表 出:”こだわり”をキーワードで表す。
- 浸 透:キーワードを繰り返し使うことで組織に浸透させる。